外国人が日本で医療分野の業務に従事するには、業務内容に合った在留資格を取得する必要があります。医療行為は法律で厳密に区分されるため、資格や免許の有無が審査に大きく影響します。
医療分野で利用される主な在留資格
医療行為の有無によって在留資格が分かれます。医療行為を伴う場合は国家資格が前提となり、医療行為を伴わない場合は事務系在留資格を用いることが一般的です。
医療
医師、看護師、薬剤師など国家資格に基づき医療行為を行う職種に使われる資格です。原則として日本の医療免許を持つ者のみが取得できます。
研究
大学病院や研究機関で医学研究に従事する際に利用される資格です。診療行為は行わず、研究や教育に従事するため医療免許は不要です。
技術・人文知識・国際業務
医療通訳、医療事務、国際医療コーディネーターなどに多く利用される資格です。医療行為を行わないため、語学力や事務能力が求められます。
特定活動
臨床観察や短期研修など実地経験を積む目的で使われることがあり、診療行為を行わないことが前提となります。
在留資格「医療」に該当する職種と免許要件
在留資格「医療」は医療国家資格に基づく医療行為を行う者に付与され、日本の資格制度に適合することが求められます。次の職種が代表例です。
医師
外国資格のみでは医療行為はできず、日本の医師国家資格の取得が前提です。留学生として医学部に進学し国家試験に合格するのが一般的な流れです。
看護師・准看護師
患者対応や医療補助のため高い日本語能力が求められます。外国資格のみでは従事できず、日本の看護師国家試験に合格する必要があります。
薬剤師
調剤や服薬指導に従事するため、日本の薬剤師国家資格が必須です。日本の薬学課程修了後に国家試験に合格することで取得できます。
医療技術職
臨床検査技師、放射線技師、理学療法士なども国家資格制であり、日本資格を取得しなければ医療行為を行うことはできません。
医療行為に該当しない職種での在留資格
医療現場には免許を必要としない業務も多く、在留資格は業務内容に応じて選択されます。
医療通訳
患者と医療従事者をつなぐ業務で、語学力と医療知識が重視されます。医療行為を行わないため、技術・人文知識・国際業務を使うのが一般的です。
医療事務
受付、保険請求処理、予約管理などを担当します。医療資格は不要ですが、専門知識と事務能力が求められるため在留資格は技術・人文知識・国際業務となります。
国際医療コーディネーター
外国人患者と医療機関の橋渡し役で、語学・文化理解・事務対応が必要です。医療行為がないため事務系在留資格の対象となります。
日本語能力の重要性
医療現場は医療安全の観点から高い言語能力が求められます。医師は診療のためN1相当、看護師は患者対応のためN2〜N3相当、事務系は業務遂行のためN2相当が一般的な目安とされています。
医療の在留資格を取得する一般的な流れ
在留資格取得の流れは以下のとおりで、業務内容、資格、雇用条件に齟齬がないかが重要です。
医療機関等での採用決定
業務内容と資格を事前に確認し適合性を判断します。
在留資格の区分特定
医療行為の有無に応じて適切な区分を選択します。
在留資格認定証明書の申請
業務内容・契約条件・資格証明等を提出します。
在外公館で査証申請
審査に通過すれば入国査証が発給されます。
入国後に医療機関で勤務開始
在留カードの取得を経て就労を開始します。
受入医療機関側に求められる要件
外国人の採用にあたり、医療機関には以下の体制が求められます。
- 法令に基づく適正運営(病院や診療所としての許認可が整っていることが前提です)
- 外国人に無資格業務をさせない管理体制(医療安全に関わるため入管が厳しく審査します)
- 雇用契約の明確性(労働条件や業務内容を明示し日本人と同等以上の待遇が必要です)
- 医療行為と非医療行為の明確な区別(申請書類に不整合があると不許可の原因になります)
よくある誤解と注意点
医療分野は制度が複雑であり、誤解から不許可になる事例も多い分野です。
- 外国の医師資格のみで診療できる、という誤解が多くありますが実務上は不可です(国家資格が必要)。
- 看護師資格がなく病棟業務ができる、という誤解もありますが無資格医療行為に該当します。
- 医療通訳は医療ビザでなければならないという誤解もありますが事務系ビザが適切です。
- 業務内容を正確に文書化できていないケースも不許可の大きな原因となります。
まとめ
外国人が医療の在留資格を取得するには、日本の国家資格の必要性、医療行為の有無、日本語能力、業務内容と在留資格の整合性を正しく理解することが重要です。制度理解を誤ると不許可につながる場合もあるため慎重な準備が求められます。
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