日本では国籍を問わず合同会社を設立できます。しかし設立登記・銀行口座開設・在留資格取得は相互に絡み合うため、入念に準備を行ったうえで開業を目指しましょう。
ここでは、外国人が日本で合同会社を設立する手続きの流れや必要なビザの種類について説明していきます。
在留資格3タイプと合同会社の相性
| 在留資格 | 活動内容 | 資本金要件 | 想定ケース |
| 経営・管理 | 会社経営・管理 | 500万円以上 または常勤2名 | 事業所も用意済みで早期黒字を目指す |
| スタートアップ | 起業準備 | 要件猶予(最長18か月) | まず来日して事業計画を練りたい |
| 永住者・定住者等 | 制限なし | なし | 既に就労制限のない在留資格を持つ |
合同会社は株式公開を想定しないため、資金調達規模が小さくても柔軟に経営したい外国人に人気です。
役員構成によって変わる「必要書類と手続きにかかる日数」
外国人が日本で合同会社を設立しようとする場合、役員構成の在り方によって必要書類や手続きにかかる時間が変わってきます。
全役員が日本在住の場合
役員全員が日本在住の場合、次の書類が必要になります。また手続きにかかる時間も確認しておきましょう。
必要書類
- 印鑑証明書(市区町村発行)×2通
- 個人実印・会社実印
手続きにかかる時間
- 日本の公証手続が即日可能
- 登記まで平均3週間
一部役員が海外在住の場合
役員の一部が海外在住である場合、次の書類が必要になります。また手続きにかかる時間も確認しておきましょう。
必要書類
- サイン証明書(在外公館または公証人)+日本語訳
手続きにかかる時間
- 国際郵便による書類送付(往復10〜14日)
※郵送ロスを見込み、最低6週間を想定することも大切です。中国・台湾・香港は各地域発行の印鑑証明が必須である点にも注意しましょう。
合同会社設立前に必ず決める9項目
| 決定事項 | |
| ①商号 | 「合同会社〇〇」を必ず含める。類似商号を登記情報提供サービスで検索。 |
| ②社員(出資者) | LLCでは出資者=社員=経営者。人数制限なし。 |
| ③所在地 | バーチャルオフィス不可。物理的に事業実態を確認できる場所を確保。 |
| ④事業目的 | ビザ審査で収益モデルを判断する核心。複数業種を並列する場合は関連性を示す。 |
| ⑤資本金 | 金額自由。ただし「経営・管理」の在留資格を取得するなら500万円以上が現実的。 |
| ⑥公告方法 | 官報・新聞・ウェブから選択。コストと閲覧性を比較検討。 |
| ⑦事業年度 | 節税目的で繁忙期直後に決算期を設定するケースが多い。 |
| ⑧機関設計 | 社員総会は任意。監査役は置けないため外部専門家の関与で内部統制を補完。 |
| ⑨代表社員 | 社員の中から1名以上を選任し、登記で明記。 |
必要書類と作成時の注意点
| 書類 | 主な注意点 |
| 定款 | 合同会社は公証人認証不要。自由度が高い分、利益配分比率・退社手続を詳細化し将来紛争を防ぐ。 |
| 社員決定書 | 商号・本店・代表社員などを社員全員の実印またはサインで確定。 |
| 就任承諾書 | 役員が複数の場合、全員分を作成。サイン証明の署名と同一筆跡で。 |
| 払込証明書 | 銀行名・支店・口座番号・入金日・残高を記載。外貨払込は必ずレート証明を添付。 |
| 印鑑届出書 | 法務局提出は黒インクのゴム印不可。実印で一点押し。 |
| 現物出資評価書 | 500万円超のPC機器・暗号資産などは弁護士等の評価証明必須。 |
資本金払込み3つの実務モデル
| 口座の種類 | 概要 | メリット/デメリット |
| 本人名義国内口座 | 事前来日して銀行口座を開設 | 手続が単純 / 口座開設の審査が厳格 |
| 日本在住協力者口座 | 協力者(将来代表社員)が受領 | 早い / 出資者と口座名義不一致を議事録で補足 |
| 海外支店口座 | 日本銀行の海外支店に円建て入金 | 現地手続で完結 / レート証明や通帳コピー要件が煩雑 |
登記後に行う5つの追加手続
会社の設立登記を行ったら、続けて以下の手続きを進めます。
税務署・都道府県税事務所へ設立届
設立登記から2か月以内に届出を行います。青色申告承認申請を同時提出することで、総合的な節税効果も期待できるでしょう。
年金事務所で健康保険・厚生年金加入
外国人のみの会社でも加入義務があります。忘れずに健康保険と厚生年金に加入しましょう。
銀行法人口座開設
法人口座の開設にあたり、事業計画書や取引先リストを用意することで、金融機関による審査がスムーズに運ぶ可能性があります。
経営・管理ビザ/スタートアップビザ変更申請
スタートアップビザは資本金・事業所要件を最長2年間猶予する制度です。COE(在留資格認定証明書)の申請を行い、1~2ヶ月後に交付を受けたら、すぐに在留資格変更申請することができます。
外為法の届出
出資者が日本非居住者の場合、日本銀行を経由して財務大臣および管轄大臣に対し届出を行う必要があります。会社の設立登記の日から45日以内に手続きを行わなかった場合、罰金や口座凍結のリスクが生じることも理解しておきましょう。
外国人の合同会社設立でよくある質問(FAQ)
外国人が日本で合同会社を設立するにあたり、よくきかれる疑問点に回答していきます。
Q1:資本金1円でも合同会社を作れますか?
資本金1円でも登記自体は可能ですが、経営・管理ビザの申請要件を満たすためには、資本金500万円以上(または2名雇用)が必要です。スタートアップビザ活用し、最長18か月の猶予を活用することも検討してみましょう。
Q2:すべて海外在住の役員でも設立できますか?
可能ですが、登記後の銀行口座開設で在住役員の来日面談を求められるケースが多く、国内居住者を1名入れる方が実務的です。
Q3:印鑑ではなく電子署名だけで登記できますか?
現在の商業登記規則では電子署名+電子認証でオンライン申請が可能です。ただしサイン証明は原本郵送が求められるため完全ペーパーレスにはなりません。
まとめ
合同会社は株式会社に比べると、設立要件や手続きが比較的柔軟であることから、外国人が初めて起業するうえで人気の選択肢となっています。ただし、後に「経営・管理ビザ」を申請することを踏まえて、十分な資本金額を用意しておくといいでしょう。
また、合同会社の定款は自由度が高い分、法的な間違いを防ぐためにも専門家によるチェックが必須となってきます。
弊社では外国語の話せるスタッフと行政書士が連携してサポートしています。合同会社(LLC)設立からビザ変更まで、ご不安の解決や支援をご希望の方は、ぜひ無料相談をご利用ください。








