近年、日本の金融業界では、グローバルな人材競争の中で優秀な外国人材の採用が活発になっています。特に東京や大阪などの都市部では、外資系企業をはじめ多くの金融機関が外国人の雇用を積極的に進めています。

 

では、外国人を金融業界で雇用する際、どのような在留資格(ビザ)が適しているのでしょうか?

 

ここでは、金融業界で外国人を採用する際に必要な「高度専門職ビザ」について、取得のポイントやメリットを説明していきます

 

金融業界で外国人採用が進む理由

金融業界は、外国為替、投資、保険、資産運用など、専門的な知識と経験が求められる分野です。特に国際的な業務に携わるポジションでは、高度な語学力や専門知識を持つ外国人が重宝されます。

 

こうした人材の多くは、学歴・職歴・収入面でも優れており、一般的な「技術・人文知識・国際業務」ビザではなく、より優遇された「高度専門職ビザ」の対象になるケースが増えています。

 

「高度専門職ビザ」とは?

「高度専門職ビザ」とは、法務省が定めるポイント制度に基づき、一定の条件を満たす優秀な外国人材に対して与えられる在留資格です。このビザには「高度専門職1号」「高度専門職2号」の2種類があります。

 

この制度は、日本で活躍する外国人研究者、技術者、マネージャー層などを積極的に招致し、定住・家族帯同・転職などの柔軟性を高めることを目的としています。

 

高度専門職1号の特徴

在留資格「高度専門職」1号を取得するには、次の条件を満たすことが求められます。

 

ポイント制評価

高度専門職1号は、学歴・職歴・年収・日本語能力などを総合的に数値化するポイント制が導入されており、70点以上を取得した場合に在留資格が付与されます。

【主な評価項目】

  • 学歴(例:修士・博士の取得で加点)

  • 職歴(年数・業界の専門性)

  • 年収水準(高年収ほど高ポイント)

  • 日本語能力(JLPT N1~N2など)

  • 年齢や研究業績など

このような制度により、“単純な条件クリア型”ではなく、個々の人材の総合的な資質が問われます。

 

在留資格の3タイプに分類

高度専門職1号は、業務内容に応じて以下の3区分に分類されます。

種類 主な対象者 内容の概要
高度学術研究活動(イ) 大学研究者、博士課程研究者など 教育・研究を通じた学術的活動が中心
高度専門・技術活動(ロ) IT技術者、エンジニアなど 企業での高度技術や知識を活かす業務
高度経営・管理活動(ハ) 外国人経営者・管理者 企業の運営・管理に関する活動

 

在留期間5年

通常の在留資格では1年、3年などの更新が必要ですが、高度専門職1号では一律で5年間の在留が認められます

 

永住申請の早期化

他の在留資格に比べ、永住権の取得条件が大幅に緩和されています。高度専門職として1年間活動し、追加要件を満たせば永住申請が可能です。

 

複数の活動が可能

原則として同じ分野内であれば転職や副業が可能であり、特定の雇用先に縛られにくいのも大きな利点です。

 

配偶者の就労条件緩和

通常、扶養家族は就労に制限がありますが、高度専門職1号では配偶者もフルタイムで自由に働くことができます

 

親や家事使用人の帯同が可能

条件を満たせば、外国人の親(子育てまたは介護目的)や家事使用人の同行も可能となっており、生活支援体制が充実します。

 

高度専門職2号の特徴

「高度専門職2号」は、日本で優遇された在留資格のひとつで、高度専門職1号としての活動実績を一定期間積んだ外国人に与えられる上位ステータスです。これは実質的に「永住に近い在留資格」ともいえる内容で、以下のような追加優遇措置があります。

本制度は、日本の経済成長をけん引するような外国人材を中長期的に確保することを目的に導入されたもので、企業・研究機関・大学などにおいて重要な戦力となる高度人材を対象としています。

在留期間は“無期限”で更新不要

高度専門職2号最大の特徴は、在留期間に制限がないという点です。これにより、ビザの更新手続きを何度も繰り返す必要がなくなり、長期的な生活設計やキャリア形成がしやすくなります。永住許可と同様の安定性を持ちながら、在留資格としての枠組みは維持されているのが特徴です。

活動内容の幅が大きく拡大される

高度専門職1号では、申請時に指定された活動内容(研究・技術・経営など)に限定されるのに対し、2号では活動範囲が大幅に自由化されます。

【認められる活動例】

  • 本業と異なる分野の副業や起業活動
  • 複数の会社との同時契約
  • 一定条件下での自由な職種変更

日本国内での「働き方の選択肢」が広がることで、自身の専門性を活かしつつ、他分野へも積極的に挑戦できる環境が整います。

家族の帯同と就労も柔軟に認められる

2号では、配偶者や子どもに対する帯同が認められるだけでなく、配偶者もフルタイムで自由に働くことが可能です。また、特定の条件を満たすことで、以下のような同伴者も日本での生活を共にすることができます。

  • 高齢の親(介護・育児サポートを目的とする場合)
  • 家事支援を行う外国人家事使用人

家族ごと長期的に日本で安心して暮らせるという点でも、永住に準ずる魅力があります。

 

ビザ取得のポイントと注意点

高度専門職ビザの取得には、まず法務省が提供するポイント計算表を使い、自分のスコアを確認することが重要です。必要な70点以上を満たしていれば申請が可能になります。

 

金融業界においては、大手企業が多く「カテゴリー1」や「カテゴリー2」に分類されることが多いため、比較的スムーズにビザ申請が進む傾向があります。ただし、申請書類に不備があると審査に時間がかかることもあるため、細心の注意が必要です。

 

行政書士との連携がおすすめ

ポイント制や必要書類に不安がある場合は、ビザ申請の実務に詳しい行政書士と連携することで、スムーズに申請を進められます。書類作成や要件確認を専門家に任せることで、許可率の向上が期待できます。

 

まとめ|金融業界で外国人を採用するなら「高度専門職」ビザを活用しよう

日本の金融業界では、今後さらに国際化が進む中で、高度なスキルを持つ外国人材の採用が不可欠となっていくでしょう。その中で「高度専門職」ビザは、優秀な人材を安定して雇用できる有力な選択肢です。ポイント制度を活用して条件を確認し、必要に応じて専門家の力を借りながら、外国人採用の成功を目指してみてはいかがでしょうか。

 

弊社では初回相談無料を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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