日本の永住許可(永住ビザ)は、在留資格の中でも最難関クラスの審査が行われます。

 

しかし、申請にあたり細心の注意が必要なのにもかかわらず、不許可通知の約4割は「見落とし」が原因と言われているのです。

 

ここでは、特によくみられる「申請不許可の典型10パターン」と、不許可を回避するための具体策について説明していきます

 

1.書類の完成度不足の場合

永住許可申請書類を審査する担当者は、書類を通して申請者の人間性や社会性、経済力などを評価していきます。以下のような書類は審査官に不安を与える可能性がありますので十分注意しましょう。

 

【具体例】内容の空欄や誤字が目立つ

書類に空欄が目立つ場合、必要な情報を提供されていないと判断されるかもしれません。誤字や脱字、日本語表現の不自然さも、永住を許可するには不十分だとみなされる可能性があります。

 

【対策】書類不備の回避策

永住許可申請という大切な手続きでは、次の点に気を付けて丁寧に書類の準備を進めることが重要です。

 

下書き+第三者チェックで対策

申請書類にはいきなり書き込むのではなく、まずは下書きを行って第三者によるチェックを受けましょう。問題がないと判断できたら清書に移ります。

 

日本人の専門家に校閲を依頼

日本語を使いこなすことができ、かつ永住許可申請にも詳しい日本人の助けを借りることも検討してみましょう。ビザ申請に詳しい日本人行政書士などに、下書き書類の校閲を依頼するのもよい方法です。

 

添付書類を用意して情報を補完

申請書類だけで自分の状況を伝えることが困難だと感じたら、添付書類を用意して十分な情報提供を行うことも大切です。理由書などは既存の定型文をコピーするのではなく、具体的な貢献内容を挙げて説得力を上げる工夫もしてみましょう。

 

2.独立生計要件に届かない場合

出入国在留管理庁ホームページでは具体的な金額を明言していませんが、永住許可申請に際して求められる経済力は、独身者で年収300万円、扶養者1人につき70~80万円を加算した額が目安になっています。

 

【具体例】家族の収入を合わせて年収を申告する

配偶者の収入を合算できるケースもありますが、家族それぞれのパート収入を寄せ集めて申告した場合、経済力の安定性や持続力が疑われる可能性もあります。

 

【対策】年収にばらつきがある場合の対応策

審査官は直近3年の所得推移を必ず確認しますので、前年に一時的に収入が下がった場合はその理由(育休・病気療養など)を根拠資料付きで説明しましょう。

 

3. 扶養人数の入れ過ぎは逆効果

「扶養人数を増やせば扶養控除額が増えて所得税が下がるから有利」と誤解するケースもあるようです。実際には、扶養が多い=生活余力が少ないと判断されやすいので、この点に気を付けましょう。

 

【具体例】母国の兄弟姉妹を名目上だけ扶養に入れる

実際には扶養していないにもかかわらず母国の家族を扶養人数に加えた場合、節税目的で実態に即していない申告を行ったとみなされる可能性があります。

 

【対策】扶養者が海外にいる場合の対応策

海外にいる親兄弟などに送金しており、実際に扶養関係にある場合は、送金証明や生活費生活費仕送り記録を添付して、必要性の証明を行いましょう。

 

4. 納税・年金の未納・滞納

税金の未納がある場合は不許可率がほぼ100%といわれています。税金や年金保険料の延滞歴がある場合は、完納後12カ月は延滞ゼロ実績を作ってから申請した方がいいでしょう。

 

年金は加入実績があるほうが有利とされていますので、もし国民年金保険料を未納している場合は、過去5年分の追納制度を活用し、納付書コピーを添付すると説得力があがることが期待できます。

 

5. 出国日数オーバー

永住許可申請にあたり、「10年間連続して日本に在留しており、そのうち出国した日数が1回あたり30日以下で1年あたり150日以下」という目安に注意する必要があります。

 

出入国在留管理庁ホームページでは、出国日数について明記されていません「30日」は短期滞在にあたるためそれほど問題にはなりませんが、「150日」となると約5ヶ月にわたって日本に在留していないことになり、「10年間連続して日本に在留」という状態を満たせなくなるため、出国日数には気を付けなければなりません。

 

6. 交通違反の累積は素行不良評価に直結

運転記録証明書(5年分)を取り寄せ、軽微違反でも申請前2年は無違反を目指しましょう

 

【具体例】スピード違反・信号無視・駐車違反などの交通違反

特に、直近5年間で罰金刑または反則金累計5回超を課されている場合は要注意です。

 

【対応策】交通違反や反則金の経験がある場合の対応策

過去に交通違反をしたり反則金を課せられたりしたことがある場合は、最低でも申請前2年程度は無違反の実績を残しましょう。どうしても違反歴が残る場合は、交通安全講習の受講証明を添付して改善姿勢をアピールすることも大切です。

 

7. 配偶者・家族の資格外活動違反

家族滞在ビザは週28時間以内の就労制限があります。審査官は雇用保険記録・給与支払報告書を照会しており、時給×勤務日数の計算式でオーバー時間を算出することが可能です

 

もし違反が発覚した場合、家族全員まとめて不許可になるため、家族の勤務実態を必ず確認し、超過分がある場合は就労先変更やシフト調整のうえで申請しましょう。

 

8. 離職・転職直後の申請

申請時に在職期間が短いと「職歴が安定していない」と見なされます。転職予定があるなら、新しい就労ビザを更新して年収実績が1年貯まるまで待つほうが無難です。また、離職直後に失業保険を受給しながら申請すると独立生計要件でマイナス評価になりがちです。

 

9. 虚偽申告・誤申告の発覚

過去の在留資格変更歴や犯罪歴についてうっかり記載し忘れた場合や、扶養人数や年収の数字が他書類と食い違うような場合は、虚偽や誤申告とみなされる可能性があります。

 

審査官は自治体や税務署ともデータを連携しています。一度でも虚偽が明らかになると再申請が極めて困難になるため、記憶が曖昧な項目は前歴を公的機関で照会のうえ正確に記載しましょう。

 

10. 身元保証人が見つからない/適格でない

身元保証人は「日本国籍または永住者」「安定した収入」「納税状況良好」であることが基本条件です。留学生同士で保証し合う、主婦・学生を保証人に立てるといったケースはいずれも不適切ということになります。

 

永住許可申請の検討を始める段階から、時間をかけて信頼できる第三者に声をかけていくことが大切です。

 

まとめ

永住許可は、さまざまな審査項目を多角度的に評価して許可・不許可が決まるものです。年収や素行不良、税金滞納や出国日数オーバーなど、どれか一つでも大きな欠点があれば他項目でリカバーしにくいのが実情です。

 

永住許可はライフプランを左右する重要な申請ですから、万全の態勢で審査に臨むことがとても大切になってきます。少しでも不安がある場合は、永住ビザ取扱い経験豊富な行政書士に相談し、煩雑な申請書類の準備や申請作業などを依頼することもおすすめします。

 

弊社では初回相談無料を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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