日本で働く外国人は、就労内容に応じて19種類の在留資格から最適なものを取得する必要があります。ビザの選択を誤ると、許可が下りないばかりか、入国後の在留活動まで制限されるため、雇用側・申請者側ともに基礎知識が必須です。

 

ここでは、19種類の就労ビザの申請要件・活動範囲・在留期間などについて整理していきます

 

1.国家・公務分野(2種)

国家・公務分野」の在留資格には外交公用の2種類があり、いずれも国際関係を担う公式身分の滞在を想定しています。

在留資格 主な対象 在留期間 ポイント解説
外交 大使・領事および家族 任務期間 外交特権により就労制限なし。日本の法律の多くが不適用。
公用 大使館職員・政府職員 15日〜5 “準外交扱い。滞在目的が終われば速やかに出国する必要あり。

 

外交ビザ

外交ビザは、外国の元首・大使・領事および同行家族を対象としています。日本政府への信任状提出後は、就労制限や在留期間の上限が設けられず、任務終了まで滞在することができます。日本の法令の一部が適用除外となり、租税や出入国手続でも特権が付与される点が特徴的です。

 

公用ビザ

公用ビザは、外交官以外の政府職員、国際機関職員などを想定し、友好促進や実務協議を行う公的ミッションに発給されます。家族も同資格で帯同可能ですが、在留期間は15日・30日・3か月・1年・3年・5年の範囲で目的に応じて細かく区切られる点に注意しましょう。両資格とも申請時には本国政府の派遣命令書や公文書が必須で、個人の雇用契約に基づく一般就労とは完全に区別されます。

 

2.学術・文化・宗教分野(5種)

学術・文化・宗教」カテゴリーには、教授・芸術・宗教・報道・研究5つの在留資格があります。いずれも在留期間は3か月〜5年で、段階的に更新していくことが可能です。審査ポイントとしては、活動内容が在留目的と一致し、専門性・継続性・報酬水準が裏付けられているかという点にあります

 

教授ビザ

大学教授・准教授・助手が対象です。授業・研究・学生指導に従事することができ、滞在期間は3か月〜5年まで更新することが可能です。

 

芸術ビザ

作曲家、画家、写真家など独創性を伴う芸術家向けの在留資格です。入管は「作品発表歴」と「収入見込」を重視するといわれています

 

宗教ビザ

宣教師・僧侶などが対象です。所属宗教団体からの派遣証明が必須となります

 

報道ビザ

海外メディアの特派員、カメラマンなどが対象です。取材証明書や所属会社の派遣状が求められます

 

研究ビザ

企業研究所・政府機関で研究を行う技術者が対象です。もし大学に所属する場合は、研究ビザではなく教授ビザの取得が必要になりますので注意しましょう。

 

3.高度専門職(2種)

高度専門職ビザは、研究・技術・経営分野の高度人材を優遇するポイント制在留資格です。申請時は認定証明書交付申請書や得点計算シート、裏付資料を提出する必要があり、審査は通常より迅速に処理されるため、長期的なキャリア設計がしやすいといわれています。

 

高度専門職1

  • ポイント加算方式(研究・技術・経営管理など)で70点以上が目安
  • 5年の在留期間+家族帯同や親・家事使用人の同伴特典

 

高度専門職2

  • 1号で3年以上の在留実績などを満たすと移行可能
  • 在留期間無期限、ほぼ全就労活動が解禁される

 

4.ビジネス・専門職系(7種)

ビジネス・専門職系の在留資格は会社経営から専門医まで七区分に分類されます。いずれも在留期間は3か月〜5年で、更新時には活動実績と日本人同等の報酬が支払われているかが重視されています。

在留資格 主な職種 期間 取得のカギ
経営・管理 代表取締役・支店長 3か月〜5 資本金500万円または常勤2名雇用、独立事業所が必須。
法律・会計業務 弁護士・行政書士・CPA 3か月〜5 日本または出身国の資格保有が前提。
医療 医師・看護師・薬剤師 3か月〜5 日本の医療資格免許が必要。特定機関での勤務限定。
教育 小中高教員・語学教師(学校法人) 3か月〜5 児童・生徒を対象とする教育活動。
技術・人文知識・国際業務 エンジニア・マーケター・通訳 3か月〜5 大卒or10年実務+日本人並み給与が条件。
企業内転勤 海外本社日本支社 3か月〜5 同一企業グループ内の転勤。学歴・年数要件は緩やか。
介護 介護福祉士候補・介護士 3か月〜5 養成施設卒または介護福祉士試験合格を予定。

 

5.エンターテインメント・技術技能分野(3種)

「興行」「技能」「特定技能」の3類型がエンターテインメント・技術技能分野をカバーしています。いずれの資格も、活動内容と在留目的の合致、日本人と同等以上の報酬が許可条件となっています。

 

興行ビザ

歌手・俳優・プロアスリートなど。15日〜3年で、興行内容に応じ在留日数が細かく指定されます。

 

技能ビザ

フレンチシェフ、宝飾職人、スポーツトレーナーなど熟練技能者が対象です。実務10年以上が申請するうえでの原則です。

 

特定技能ビザ

  • 1:外食・宿泊・介護など14分野で最大5
  • 2:建設・造船のみ無期限+家族帯同可。技能測定試験とN4相当以上の日本語力が必要

 

6.技能実習(13号)

2024年の制度改正で、優良企業は最長5年間連続雇用が可能になり、特定技能1号への円滑移行も促進されています。

号数 在留期間 目的 移行条件
1号 1年以内 基礎習得 監理団体による講習修了
2号 2年以内 応用習熟 技能検定3級など合格
3号 2年以内 指導者レベル 卓越技能評価試験合格

 

7.外交・公務以外の特殊ビザ(1種)

芸術・文化交流を幅広くカバーするビザですが、外国映画ロケ班や短期文化イベントスタッフには「短期滞在」や「興行」ビザが適用されるケースも多いため、活動内容に応じて専門家へ確認が必要です。

 

まとめ

ビザ選択は「活動内容 × 期間 × 雇用形態」で決まります。目的ごとに適切なビザカテゴリーを選び、審査内容を慎重に確認しながら提出書類を揃えて申請しましょう。

 

当行政書士法人では、初回相談無料を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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