外国人の方が日本で働くためには、就労ビザ(在留資格)の取得が必要です。しかし、せっかく時間をかけて申請しても、不許可になるケースが少なからず存在します。
この記事では、就労ビザの申請が不許可になる代表的な理由と、再申請を成功させるための具体的な対策について解説します。
就労ビザが不許可になる主な理由
入国管理局の公式情報に基づき、適切な書類を提出しても、ビザが不許可になることは珍しくありません。以下のような理由が多くのケースで見られます。
1.職務内容と学歴・職務内容の関連性がない
就労ビザごとに対象業務は厳密に定められており、職務内容が申請ビザとズレていると不許可の可能性が高くなります。
- 「技術・人文知識・国際業務」で申請したが、実際の業務が単純作業(例えば、梱包や接客など)に偏っていた。
- 「経営管理ビザ」での申請であっても、経営者ではなく現場スタッフ的な業務だった。
申請前に業務内容を整理し、「どの就労資格に該当するのか」を明確にすることが重要です。
2.申請書類に不備や不足がある
ビザ審査では「形式的な記入漏れ」や「証明資料の抜け」が原因で審査が止まるケースも少なくありません。よくある書類不備の例をみてみましょう。
- 在職証明書や職務経歴書に誤字・脱字がある
- 翻訳書類が不正確、または非公式
- 企業側の事業内容資料が曖昧で業種が不明瞭
専門家(行政書士など)に書類のチェックを依頼するのも有効です。
3.学歴・職歴が基準を満たしていない
多くの就労ビザでは「大学卒業または10年以上の実務経験」が原則的な条件とされています。これを満たしていない場合、審査は通りにくくなります。
- 専門分野の学歴と就職先の業務が一致していない
- 職歴が断続的で、実務経験の一貫性が証明できない
職歴にブランクがある場合は、正当な理由とともに補足説明資料を添えるのが望ましいです。
4.雇用元の企業の信頼性に疑問がある
申請者自身に問題がなくても、受け入れ先企業の体制や経営状況が不透明だと不許可につながることがあります。企業に関する不安要素として以下を挙げることができます。
- 過去に外国人雇用でトラブルがあった
- 決算が赤字続きで、継続雇用が困難と見なされる
- 会社の住所がレンタルオフィスで実態が不明瞭
会社パンフレットや業務実績、顧客リストなどを添えて、企業の実在性や健全性を補強しましょう。
5.提出された事業計画が現実的でない
「経営・管理ビザ」などでは、事業計画の内容が審査の大きな判断材料になります。収支の見通しが甘かったり計画が曖昧だったりすると不許可になるリスクが高まります。典型的な例として以下を挙げることができます。
- 開業資金の出どころが不明確
- 実在しない顧客や未確定の売上目標が記載されている
- 数字に一貫性がない
複数年分の計画書を作成し、現実的な数値根拠を示すことが求められます。
6.虚偽の申告・書類偽造が存在する
意図的であれ、過失であれ、事実と異なる内容を申請書に記載することは重大な違反行為となります。
- 架空の職歴や学歴を記載
- 偽造された卒業証明書や在職証明書を提出
- 本人ではない第三者が作成した経歴書を使う
虚偽申請は発覚すると再申請が難しくなり、将来の在留にも影響します。正確な内容を提出しましょう。
7.過去の在留履歴や違反歴が影響している
過去に不法滞在やオーバーステイ、在留資格の違反がある場合、それが就労ビザの審査に大きく影響します。
- アルバイト制限を超えて就労していた留学生
- 技能実習生としての在籍中に転職し無断就労
在留状況が不安定だった場合は、その経緯と改善策を文書で明確にすることが望ましいです。特に法律や入管ルールは頻繁に改正されるため、常に最新の情報で申請を準備することが重要です。
【この章のまとめ】
- 職務内容と学歴・職歴に関連性がない
- 単純作業中心の職務
- 申請書類の不備や説明不足
- 申請者がビザ要件を満たしていない(学歴や職歴の基準未達)
- 受け入れ企業の信頼性が低い
- 虚偽申請や過去の在留違反歴がある
就労ビザ不許可後の再申請の準備
就労ビザが不許可になったとしても、時間をかけて再び丁寧に要件を満たし必要書類を準備していけば、再申請することも可能です。その際、次のような点に注意して準備していきましょう。
【1】不許可通知を確認する
入管から交付される「不許可通知書」には、理由が簡単に書かれています。不許可になった理由を読み解き、改善に取り組みましょう。
通知に書かれる表現 | 想定される問題点 | 改善アクション |
「職務内容が在留資格に該当しない」 | 業務が単純作業中心で専門性が認められない | 業務内容を再整理し、専門職に絞る |
「雇用条件に問題がある」 | 給与が低い、契約が曖昧 | 雇用契約書の見直し+補足説明資料の添付 |
「提出資料に不足がある」 | 会社資料・業務説明書類が不十分 | 組織図・パンフレット・職務明細の追加 |
【2】同じ内容で再申請しない
一度「不許可」とされた申請内容を修正・補強しないまま再申請しても、再度不許可になる可能性が高いでしょう。不許可理由に対して、具体的な対策と書類の修正を行う必要があります。
【3】行政書士などの専門家に相談する
入管業務に精通したビザ専門の行政書士なら、原因分析から再申請のサポートまで可能です。弊社でも初回無料相談を実施しておりますので、こちらからお問い合わせください。
【この章のまとめ】
- 不許可通知書を確認
- 「職務内容が在留資格に該当しない」「雇用条件に問題がある」「提出資料に不足がある」など、指摘内容に応じて対策実施
- 業務内容の見直しや契約書の補強、会社資料などを追加
同じ内容での再申請は避け、必ず修正・補完を行うことが大切です。不安がある場合は、ビザ専門の行政書士に相談するのが有効です。
まとめ
就労ビザが不許可になったら、「具体的にどの部分が条件を満たしていなかったか」を丁寧に確認し、改善に努めましょう。その後の再申請を検討している場合は、初回申請内容の見直しが非常に大切になってきます。
申請に不安がある方や、理由が複雑で自力での再申請が難しいと感じる方は、ビザ手続きの専門家である行政書士への相談を強くおすすめします。弊社では初回無料相談を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。