外国人が日本で芸術活動を行うための芸術ビザは、作曲家・画家・写真家・著述家・指揮者といった芸術活動を日本で行う際に必要な在留資格です。

 

ここでは、芸術ビザの申請要件や必要書類、具体的な対象職種などについて説明していきます

 

芸術ビザと興行ビザの違い

日本の就労ビザのなかで、芸術活動に携わる外国人が取得できる在留資格は大きく分けて二つあります。芸術分野の創作や指導を行う場合は「芸術ビザ」ステージパフォーマンスが中心の場合は「興行ビザ」を検討します。

ビザ種別 主な対象職種 審査重視ポイント
芸術 作曲家・作詞家・画家・写真家・文筆家・芸術指導者など 過去の“実績”と将来の“収益見通し”
興行 ダンサー・俳優・歌手・モデルなど公演・興行中心 興行契約の有無と興行主の信頼性

 

芸術ビザの対象職種と活動範囲

芸術ビザを取得することで、芸術関連のさまざまな職種に携われる可能性が出てきます。また、ビザは「創作系」「指導系」の2つに分かれており、それぞれについて専門的な経験が求められます。

 

創作系職種

芸術ビザで就労できる創作系職種についてみていきましょう。

 

作曲家・作詞家

  • 楽曲提供や映像音楽制作で収益を得ることが前提。

 

画家・彫刻家・写真家

  • 個展・ギャラリー販売・広告案件で収入を確保。

 

著述家

  • 書籍出版や雑誌連載、オンライン配信で原稿料を得る場合。

 

指導系職種

芸術ビザで就労できる指導系職種についてみていきましょう。指導系職種については、趣味の延長と判断されないよう、契約書・招待状・受賞歴プロフェッショナル性を示す必要があります。

 

音楽ディレクター・指揮者

  • オーケストラや音楽学校での指導。

 

映画監督・美術評論家

  • 大学や専門学校での講義、ワークショップ開催。

 

文学講師

  • 創作講座、翻訳講座の開催など。

 

芸術ビザの申請要件

芸術ビザを申請するためには、以下の二大要件を満たしていることが重要です。

 

【1】収入の確実性を示す

プロとして収入源が確立されている必要があります。申請時には、収入の確実性を示す書類を提出しなければなりません。

 

企業と契約して働く場合

  • 報酬額・支払いスケジュールを明記した契約書を提出。

 

自営(フリー)として働く場合

  • 予想年収を算出した収入計画書を提出。
  • 過去の納税証明やロイヤリティ明細で実績を提示。

 

【2】過去の実績を示す

以下のように、芸術に関わってきた経歴について、実績資料を伴う証明ができることが求められます。

実績資料 説明 加点度
国際コンクール受賞歴 入賞証明書・公式サイト掲載 非常に高い
専門誌・TV報道 記事コピー・動画URL 高い
展覧会・公演実績 招待状・カタログ 中程度
推薦状 関係団体・著名人 補完

複数資料を組み合わせることで“客観性”が強化されます。

 

【新規・変更】芸術ビザ申請書類と作成のコツ

新規申請か変更申請か、あるいは更新申請可によって必要書類は変わってきます。それぞれの必要書類と作成のコツについて整理しておきましょう。

 

【新規】芸術ビザの申請(在留資格認定証明書交付)

作品写真やプレス記事は日付・媒体名を注記し、審査官が真贋を確認しやすいようにまとめることが大切です。

  1. 申請書写真返信用封筒
  2. 活動内容資料
    • 契約型:契約書(活動内容・期間・報酬)
    • 自営型:事業計画・収入見込み・スポンサー書簡
  3. 推薦状などの実績証明(下記いずれか複数)
    • 受賞歴証明、メディア掲載、作品カタログ、推薦状
  4. 履歴書(芸術歴を年表形式で)
  5. 受入側資料(企業・ギャラリー等)
    • 登記事項証明書、パンフレット、決算書(必要に応じて)

 

【変更】芸術ビザの申請

それまでのビザ(在留資格)を変更して芸術ビザを取得したい場合、新規申請時の書類に以下を加えて申請を行います。

  • 在留カード・パスポート原本提示
  • 在留中の芸術収入を示す資料(印税明細、講演謝礼など)

 

【更新】芸術ビザの申請

芸術ビザに関連する芸術活動を継続していきたい場合は、芸術ビザの期限が切れる前に更新手続きを行います。

  • 更新申請書
  • 写真
  • 在留カード・パスポート提示
  • 過去1年の住民税課税・納税証明
  • 直近の活動実績レポート+次年度活動計画
  • 契約を更新する場合は新契約書も添付

 

芸術ビザ申請スケジュールと手続きの流れ

芸術ビザの申請を行う場合、どのタイミングでどのような手続きが必要になるのでしょうか。時間軸で追って整理してみましょう。

 

芸術ビザ期限【3ヶ月前】

  • 契約・招待を確定
  • 報酬額・期間は必ず明記

 

芸術ビザ期限【2か月前】

  • 芸術活動に関する証明書類を収集
  • 受賞証明の翻訳・認証には時間がかかる点に注意

 

芸術ビザ期限【1ヶ月半前】

  • 申請書を作成し入管へ提出(オンライン申請なら進捗確認が容易)

 

芸術ビザ期限【半月前】

  • ビザ認定証明交付(※ビザ取得のための大使館予約)

 

芸術ビザ申請者によくある質問

芸術ビザを申請しようとする外国人が抱きやすい疑問に回答していきます。

 

Q1. 実績が国内の小規模展覧会だけでも申請可能?

可能ですが採算性の証明が弱いため、クラウドファンディング調達実績企業スポンサー契約で補強すると許可率が上がります。

 

Q2. 作曲家として活動しながら大学で非常勤講師をする場合は?

収入源が複数でも問題ありません。全ての契約書・時間配分を提出し、芸術活動が主であることを示せばOK。

 

Q3. 収入がロイヤリティ中心で変動が大きい。どう説明すれば?

過去3年分のロイヤリティ実績をグラフ化し、平均月収と最低月収を提示。生活費をカバーできる点を数値で説明しましょう。

 

不許可を防ぐ3つの鉄則

  1. 実績資料は“公式性”の高いものから提出
  2. 収入計画は保守的に算定し裏付け資料を添付
  3. 書類間の情報不一致をゼロに
    • 契約期間と活動計画、報酬額と課税証明が一致しないと否決リスク大。

 

まとめ

芸術ビザ取得のカギは「客観的実績×具体的収入計画」にあると考えられます。

 

まずは対象職種・審査軸・必要書類に分けて申請条件を整理しましょう。

  • 対象職種:作曲家・画家・写真家・文筆家・芸術指導者など
  • 審査軸:①安定した収入見込み ②国際的・専門的実績
  • 書類:契約書・実績証明・収入計画・受入機関資料を網羅

 

次に、客観的実績×具体的収入計画をどう伝えるか、具体的な準備を進めます。

  • 実績を洗い出し、受賞歴→報道→作品目録の順で整理。
  • 契約書または事業計画で報酬額と支払者を具体化。
  • 行政書士にドラフトチェックを依頼し、不備ゼロで申請。

 

“クリエイティブの力”を日本で存分に発揮するため、万全の準備で芸術ビザを手に入れましょう。弊社では初回相談無料を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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