留学生の在留資格は「留学」です。原則として学業専念が目的であり、資格外活動許可があっても週28時間以内のアルバイトしか認められません。このため、卒業後に日本企業で正社員として働くには、就労ビザへの在留資格変更が不可欠です。
本記事では、最も利用率が高い「技術・人文知識・国際業務ビザ」への変更手順を中心に、企業・留学生双方が押さえるべき要件と必要書類を体系的に解説します。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?
就労ビザといえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が代表的です。これら3つのカテゴリーと代表職種についてみていきましょう。
技人国ビザの3つのカテゴリーと代表職種
| カテゴリー | 代表職種 | ポイント |
| 技術 | プログラマー/システムエンジニア/アプリ開発 など | 理系学部や情報系専攻との関連性がカギ |
| 人文知識 | 営業/経理/総務/マーケティング など | 経営・経済・法学・語学系の学位が有利 |
| 国際業務 | 通訳/翻訳/外国語教師 など | 母国語+日本語の語学力を活かす職務に限定 |
単純労働(工場ライン作業・コンビニ店員など)は対象外。学位と職務内容の専門性の一致が審査通過の最重要ポイントです。
留学生が満たすべき3大要件
技術・人文知識・国際業務のビザ取得を目指す留学生は、次の要件を満たすことが必須です。
1. 学歴・専攻と職務の関連性
理系専攻であれば「ITエンジニア」、経済学専攻であれば「金融・営業」など、学歴や専攻と希望する職種に関連性があることが重要です。一致度が低いと不許可になる可能性が出てきます。
2. 日本人と同等以上の労働条件
給与水準・福利厚生は同職種の日本人と同等以上であることが求められます。
3. 雇用先企業の安定性
雇用先の業績は安定していることが重要です。債務超過・連続赤字はマイナス評価になりますので、業績計画書や決算書で財務健全性を示すことが大切です。
企業側が準備する5つのチェックポイント
留学生を迎え入れる企業側としても、次の5つの点に注意して円滑な申請を目指しましょう。
採用理由書で“なぜ外国人か”を明確化
自社の海外展開において、多言語能力を持つ外国人社員がいることでどのような良い展開を期待できるかなど、数値化あるいは具体的計画化して客観的に伝えられるようにしておくことも大切です。
職務内容説明書で業務の専門性を具体化
日常的な雑務ではなく、たとえばプログラミング言語・使用ソフトなどを職務内容説明書に記載し、専門的な業務のために人員が必要である旨を明らかにしましょう。雇用契約書は日本人と同フォーマットで作成します。
給与・休暇・社会保険加入を網羅
財務書類を最新期まで用意します。決算書・源泉徴収票等法定調書合計表のコピーには忘れず受付印を押印しましょう。提出前に社内の押印・署名漏れをダブルチェックすることも大切です。
入管は“外国人雇用が会社の将来戦略に沿っているか”を重視します。採用目的を事業計画と連動させると説得力が増すことが期待できそうです。
在留資格変更許可申請の必要書類と作成のコツ
在留資格変更許可の申請に必要な書類を確認していきましょう。
申請者(留学生)が用意する書類
- 在留資格変更許可申請書(入管書式)
- 顔写真(縦4cm×横3cm):背景無地・6か月以内撮影
- 履歴書:大学・専攻・研究内容を詳細に
- 卒業(見込)証明書・成績証明書
- 職歴証明(該当者のみ)
- パスポート・在留カード
企業が用意する書類
- 採用理由書
- 職務内容説明書
- 雇用契約書(写し)
- 登記事項証明書+会社案内/パンフレット
- 前年分 源泉徴収票等法定調書合計表(コピー)
書類作成のコツ
- 書類は日本語統一。外国語原本は訳文+翻訳者署名を付ける。
- 数字データ(売上高・市場規模)は一次情報ソースを記載し、根拠を明示。
手続きの流れと審査期間
- 内定決定:卒業前年の秋〜冬がピーク
- 必要書類準備:1〜2か月
- 入管へ申請:卒業見込のまま提出可
- 審査期間:1〜3か月(繁忙期は+α)
- 許可→在留カード更新:収入印紙4,000円を購入し、カード書換え
卒業後、旧「留学」在留期間が切れる前に許可が下りるよう逆算して申請を。延長が必要な場合は学校で「特定活動」へ切替え手続きを検討。
不許可を防ぐ5つの実務対策
- 学位と無関係な職種応募は避ける
- 給与を“新卒日本人平均”より下げない
- アルバイト違反(28時間超)の履歴がないか確認
- 提出書類の矛盾をゼロに:職務内容説明と採用理由書の表現をそろえる。
- 専門家(行政書士)レビューを受ける:最新審査傾向を反映し、追加資料を先回り準備。
よくある質問(FAQ)
就労ビザ取得を目指す留学生によくある疑問に回答していきます。
Q. 専門学校卒でも就労ビザは取れる?
専門士(4年課程)なら可能性ありだが、学習内容と職務の一致がより厳格に見られる。
Q. 内定取り消しで申請中に会社が変わったら?
速やかに新雇用先書類を整え“再申請”が必要。放置すると不許可。
Q. ビザ変更前にフルタイム勤務するとどうなる?
不法就労助長罪(企業)・資格外活動違反(本人)の対象。必ず許可後に就労開始せよ。
まとめ
“専門性の一致”と“企業の説得力”が合格の鍵です。留学生の強み=学んだ専門性+多言語能力ですので、職務内容と学位の関連性を論理的に結び付けましょう。
企業は採用理由・財務健全性・日本人同等処遇の3点セットで入管を納得させることが必須。書類不備やアルバイト超過は即不許可につながるため、計画的な書類準備と期限管理が成功への近道です。
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