人手不足が深刻な日本の製造業では、外国人労働者の採用が年々増加しています。しかし、外国人を工場などの現場で雇用するには、適切な在留資格(ビザ)の取得が不可欠です。ところが「どのビザを選ぶか」「求める業務に合うか」の判断を誤ると、採用計画そのものが頓挫しかねません。
ここでは、外国人を製造業で雇用するために必要なビザの種類と申請書類について説明していきます。
製造業における外国人雇用パターン
製造業で外国人を雇用する場合、次の職種で人材を求めることが多いといえます。職種と適切なビザについてみていきましょう。
専門職(開発・品質管理・海外営業)に雇用する場合
【対象ビザ】技術・人文知識・国際業務
大学または専門学校で機械工学・経営学などを学び、専門知識を活かしてホワイトカラー業務を担う人材です。
生産ライン(組立・検査・梱包)に雇用する場合
【対象ビザ】技能実習/特定技能/定住者ほか
現場作業は「単純労働」に区分されるため、一般的な就労ビザではカバーできません。技能実習や特定技能など例外的な枠組みを利用します。
外国人を製造業で雇用するためのビザの種類
製造業で外国人を雇用しようとする場合、対象職種によって以下のように適切な在留資格(ビザ)が変わってきます。
技能実習ビザ(最長5年)
開発途上国の人材が日本の技術を学び、自国へ持ち帰ることを目的とした制度です。実際、製造業の現場に雇用されている多くの外国人が技能実習ビザで就労しており、在留期間は最大5年間とされています。職種は「溶接」「機械加工」「鋳造」「食品製造」など限られてきます。
特定技能ビザ(1号:最長5年)
技能実習の次のステップとして導入された制度で、人手不足の業種に即戦力となる外国人を受け入れることができます。製造業においては「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」などで受け入れが可能あり、在留期間は最大5年間とされています。
特定技能ビザ1号を取得するには、申請者が日本語と技能の試験に合格する必要があります。
技術・人文知識・国際業務ビザ(更新可:最長5年)
専門知識を活かして勤めるホワイトカラー職には、技術・人文知識・国際業務ビザが最適です。
申請要件
技術・人文知識・国際業務ビザの申請要件について確認していきましょう。
【学歴または実務経験】
- 大学(学士)・大学院(修士/博士)で機械工学・情報工学・経営系専攻
- 専門学校の「専門士」取得
- 学歴がない場合は10年以上の実務経験でも可
【報酬基準】
- 同じ職務を担う日本人と同等以上の給与(地域別最低賃金より高い水準が目安)。
【企業の経営安定性】
- 直近決算が黒字、または改善計画を提出できること。
対象業務と具体例
| 業務区分 | 例示ポジション | 説明 |
| 事務系 | 総務・経理・海外調達 | 契約書レビューや海外工場との会計調整など多言語文書を扱う業務 |
| 技術系 | 研究開発・品質保証 | 新規材料の試験やISO監査対応など高度な専門知識を要する |
| 国際業務 | 通訳・翻訳・海外営業 | 取引先との交渉、マニュアル翻訳、展示会対応などで語学力が不可欠 |
定住者・配偶者・永住者ビザ
定住者ビザ・配偶者ビザ・永住者ビザは就労制限がなく、いわゆる単純労働にも従事することができます。ただし、雇用契約書や社会保険加入手続きは日本人と同一基準で管理する必要があるので注意しましょう。
特定活動46号ビザ
通訳や翻訳が業務に組み込まれているポジションや迅速で正確なコミュニケーションが不可欠なポジションでは、必然的に高水準の日本語運用能力が求められます。
たとえば製造ラインの現場では、日本人スタッフが出した作業指示を受け取り、それを日本語に不慣れな技能実習生へ母語で伝えて指導する――そんな“橋渡し役”としての役割を担うケースが多く見られます。
このような職種において適切なのは特定活動46号ビザであると考えられます。
| 要件 | 解説 |
| 国内4年制大学卒 | 学位+日本語N1必須。工学部卒なら技術職、経営学部卒なら購買や企画職へ配置 |
| 日本語N1合格 | 社内外コミュニケーションを日本語で円滑に行える証明 |
| 安定企業との雇用契約 | 上場企業または資本金500万円超の中小など、倒産リスクが低い企業が対象 |
| 主な活用例 | 製造現場で外国人リーダーが班長として日本人スタッフを統括し、生産改善を提案 |
製造業で外国人を雇用する企業の必要書類
製造業で外国人を雇用しようとする場合、外国人の在留資格申請に際し企業は必要書類を揃えて提出しなければなりません。上記いずれの在留資格についても共通する書類として、以下を挙げることができます。
共通必須書類
- 登記事項証明書:会社の設立根拠・資本金を証明
- 直近期決算書(貸借対照表/損益計算書):雇用継続能力を示す最重要資料
- 事業内容説明資料(パンフレット・Web印刷):製造品目や工程図で“製造業”を具体化
- 雇用契約書:賃金・労働時間・社会保険加入を明記
- 職務内容詳細書:工程フロー図、担当範囲、使用機器などを図解すると効果的
審査上の注意点
書類をもれなく集めたとしても、以下に該当する場合は不許可の可能性を高めたり期待と異なる判断をされたりする原因となります。こちらについても注意しましょう。
- 単純労働の偽装:CAD設計者としつつ実際はライン作業だけ、は即不許可。
- 報酬の低さ:地域相場より極端に低い給与は“名目上の専門職”と判断される。
- 赤字決算:継続雇用リスクを理由に不許可事例多数。改善計画添付でリスク軽減。
まとめ
ビザ選定は“職務と在留資格の整合性”がとても重要です。製造業で外国人を戦力化する場合は、業務内容を正確に棚卸しして専門職・単純労働を切り分け、該当ビザの要件を満たす学歴・経験を裏付け資料で示し、企業の財務健全性と適正待遇を数字で証明することが大切になってくるでしょう。
初めての申請時は特に、行政書士のような許認可のプロに早期相談し、書類不備やコンプライアンス違反を回避しましょう。弊社では初回無料相談を実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。








